情報発信側は気づいていない魅力のない・行動を促さないプロモーション&情報発信
集客アップ・売上アップの施策を考える側がたまに陥るありえないプロモーション
普段街中を歩く時やインターネットで自分の欲しい情報を探している時、
様々な広告が目に飛び込んでくるのですが、
集客アップや売上アップにつながる販促物を請け負っている職業柄、
「これはよく考えられているな!」
「思わず問い合わせをしたり買ってしまいたくなるだろうな」
と思えるような、
キチンと「『誰』に『何』を『どのよう』に伝える」かが設計されている広告やプロモーションもあれば、
「これって誰向け?」
「これで人の心を動かせると思っとるのか!」
と思えるような広告やプロモーションも意外と多く目につきます。
そこで今回は、ナゼこんなことをしてしまったのかというプロモーションにや掲示物について、
それが情報の受取手にとってナゼ魅力あるものではないか、
例えばどのようにすると情報の受け取り手にとって魅力ある情報発信となり、
結果として発信者側の思う行動を取っていただける可能性が高まるか。
ということについて書かせていただこうと思います。
まずはこの銀行が行っていた新規口座開設のためのプロモーション。
写真が見づらくて申し訳ないのですが、
街中を歩いていた時に見つけたもので遠くから見た時には
『5,000円分の商品券進呈』
という文字だけが目立っていたので、
単純に「5,000円分の商品館がもらえるのか」と思って近づいて見た時に、
新規口座開設の金額を見て一瞬見間違ったかと思ったほどだったのですが、
「200万円以上の円定期預金預け入れで」
という条件が記載してあり、
全くもって魅力のない提案をしてしまってると感じたのです。
このプロモーションがキッカケで条件を満たす預金をされる方もしらっしゃるかもしれませんが、
200万円預けられるお金を持ってある方が、
わざわざ5,000円の商品券をもらうために新規口座を開設したくなるかというと、
たまたま200万円以上のお金を手に入れ、
たまたま今までとは別の銀行に預け入れたちお思っている人が、
たまたまこの銀行を通りかかってちょうどいい機会だから口座開設しようか!
という偶然が重なりまくらない限り、
200万円と比較した時の5,000円の割合はわずか0.25%にしかならない金額を手に入れるために、
わざわざ新規で口座を開設しようという気になる人がいるとは思えない!
と強く感じたわけです。
例えばこのようなキャンペーンを考えた方に是非お訪ねしてみたいのですが、
もしもとあるスーパーや百貨店などの新春福袋企画として、
『商品券1万円分ご購入の方にはナント! 25円分の商品券がプラスされるお得な企画です♬』
といった同じく0.25%の商品券販売がもらえる企画に、
あなたは魅力を感じて商品券をご購入されますか?
といったことをお訪ねしたくなるのです。
間違いなく
「そんな商品券買うわけないだろう!」
ということが100%返ってくるだろうと、
自信を持って予測できるほどの魅力のない企画ということが他社プロモーションであれば感じるはずだと思うのですが、
これが不思議なことに自社企画となると全くと言っていいほど気づかないんだろうな……
と思われるプロモーションは名の知れた企業でも行われてる事例をしばしば見かけます。
もし私に一人当たりに5,000円分の費用をかけて良いという、
このようなプロモーション実施の決済権限があるのであれば、
もらった方がワクワクするような
『5,000分の宝くじプレゼント』
とか、
この銀行の借入先とタッグを組んで様々な場所で使える暗号通貨を開発し、
『当銀行発行の暗号通貨を5,000円分プレゼント』
というような5,000円以上の価値がつきそうなものであったり、
例えば並ばされるのが好きな方はいないと思うので、
航空会社のメンバーシステムのように後から来ても優先搭乗ができるのと同じように、
定期預金講座を作ってくださった方は優先的に用件を聞いていただけるといった、
お客様が喜ぶシステムを作って差し上げたいと思います。
ま、宝くじは別銀行の管轄ですし、
暗号通貨もすぐには開発できないでしょうし使える先も見つからないでしょうから、
現実的なのは優先処理くらいでしょうか……
情報発信者側にとっての当たり前は
それを受け取る側にとっての当たり前ではない
次の事例は広告や販促とは違うのですが、
情報発信という点において残念だと思った横断幕の事例です。
工事現場に掲げてあった横断幕なのですが、
事故やけがを防ぐために掲げてあったもので、
作り手というか情報発信者側としては間違いなく
『見ればわかるだろう』
というところがあるためにこのような表現になってしまったのだと思うのですが、
パッと見はしてはいけない行動を促しているようにしか見えない状態になってしまっており、
作った意味が薄いのではないかと感じたのです。
スマートフォンのカメラでズーム機能を使って撮影したため、
画像が荒れており見づらくて申し訳ないのですが、
横断幕には以下のように書かれてあります。
『絶対にしない! させない! 不安全行動』
「しない! させない!」というところを目立たせたいがために、
広告用語的には爆弾と呼ばれる文字のバックにいがぐりのようなデザイン処理がされてありますが、
その文字が小さいために全体としてみたときに文字の大きい「絶対に不安全行動」の方に目が行き、
不安全行動をさせたくないという意図を伝えるために作られた掲示物なのに、
その意思が伝わりにくい仕上がりになってしまっていると感じたわけです。
「いや、それくらいいつも現場に入る人はわかるだろう!」
と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、
ということであればそもそもこのような掲示物をわざわざ製作する必要はないわけで、
毎日現場に入る人ばかりとも限らず、
起きてしまえば命に関わるかもしれない重大な事故につながるかもしれないからこそ、
わざわざこのような掲示物を製作するのであれば、
誰が見てもより伝わりやすい表現になっていることがベストなのです。
広告業界に勤め始めた頃は、
私もこのような
「むしろ、これで分からんのか!」
という感覚を抱いた経験が何度かあるのですが、
実際に携わったチラシなどの販促物を見てお店などにこられたお客様が、
私が携わって製作したチラシをご覧になられてこちらの意図が伝わっておらず、
店舗に問い合わせが何件か来ていたという話を聞くことが何度かございました。
なので、そのような意図せぬ行動や困惑させてしまう情報発信や表現をしないように、
今では一度仕上がったものを単純に文字の間違いがないかというチェックだけでなく、
チョットだけ時間をおいたり俯瞰したりし、
その商品やサービスを使う立場の人間になった感覚、
第三者的な視点で製作に携わった販促物を見るようにして、
違和感を感じるところがないかというようなチェックを行っております。
この記事をご覧になってくださるみなさまも、
ご自身の商品やサービスについての情報発信や販促物の製作に携わられることもあると思いますので、
情報を発信する前やチラシやホームページの販促物を世の中にリリースする前に、
一度発信者側・売り手側ではなく、
受信者側・買い手・使い手側となってそれらを見るという作業をすることで、
発信者側・売り手側では気付けなかった違和感や伝わりづらい表現を見つけられ、
無駄な情報発信や販促行為を行わずに済むようになると思いますので、
ぜひ実践なさってみてください!
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